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【最終回】ブレッドボード基板に載せて「現地出動盤」にする — 配線を固定し、電池の記録を始める

環境センサーデータサーバーシステム
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第10回で、GitHub から取ってくれば他人の Pi でも同じものが動くところまで来ました。ソフトウェアとしては完成です。

ただ、現物はブレッドボードのままでした。 挿しているだけの配線です。持ち運べば抜けます。抜けなくても、ジャンパー線は劣化します。私はこれで何時間も溶かしました。配線が合っているのに動かない、よく見たら 1 本抜けている。抜けていないのに動かない、線を替えたら動く。

今回はこれをブレッドボード基板にはんだ付けして、持って行ける形にします。連載はここで終わりです。

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この記事の構成 — 何を検証したか

部分出どころ状態
回路図・配線表実装した基板から起こした実物と一致
電池電圧の実測 2 件テスターで測定2026-09-11 実測
LED の点灯パターンスケッチのコードから転記コードが正
書込み装置自作して運用中実物
電池のしきい値 3.3V未実測。記録を開始した段階結論はまだ出ていません

最後の 1 行だけ、この連載で唯一結論の出ていない項目です。第6回・第7回・第9回で「3.3V は運用上の判断値で、実測ではない」と書いて残してあります。今回それに決着を付けるつもりでしたが、電池が減るのを待つしかないという当たり前のことに気づきました。10 節に、記録の始め方と取り出し方だけ書きます。


1. 今回やること

やること
2出来上がった基板を見る
3回路図と部品表
4実装の順番と、通電前に必ず確認すること
5電池電圧を測る
6書込み装置を自作する — 今回いちばん効いた
7ケースとリード線 — ここで一番時間を溶かした
8LED 3 色で現地切り分け
9ダッシュボードをどこから見るか
10電池のしきい値 — 記録を開始する

2. 出来上がったもの

ESP8266 版 — WiFi で直接 POST する子機

ユニバーサル基板に載せた ESP8266 版の子機、DS18B20 と単三 3 本の電池ボックス

第6回の構成です。単三 3 本で動き、Pi の AP に直接つないで HTTP POST します。基盤左下の白いコネクタが電池用、その右がセンサー用。どちらも XH の 2.54mm で、抜き挿しできます。

ESP8266 版の子機基板、状態表示の LED 3 個と XH コネクタ
電池ボックスと DS18B20 は外した状態

基板肥田氏上状態表示の LED を 3 個載せてあります。現場で電池を入れ替えて再起動してもその場で状態がつかめます。詳しくは 8 節。百均のケースに詰めて出動します(写真はLEDなし盤)。

ESP8266 の子機を百均のケースに収めたところ

XIAO ESP32-C3 版 — ESP-NOW の子機

XIAO ESP32-C3 版の子機、18650 電池と DS18B20

第7回の構成です。18650 で動き、ESP-NOW で Master に飛ばします。WiFi につながないぶん電池が持ちます。こちらは基板が小さく済みます。 枚に共通しているのは、センサーと電池が XH コネクタで外せることです。これは後から効いてきます。センサーだけ交換したい、電池だけ替えたい、というのが現場では頻繁に起きます。はんだ付けしてしまうと、そのたびにコテを持ち出すことになります。

XIAO ESP32-C3 版の子機基板と 18650 電池ホルダー

ESP32モジュールの下面のBat + -のランドからリード線を出してXHメスを圧着。それのオス側は充電池用のXH端子にパラではんだ付けしています。隠れていて見えづらいですが、電池電圧分圧用の抵抗器が電源+とーのスルーホールからXiaoESP32C3のA1にそれぞれ接続しています。

ケースに収めて並べた温度センサーの子機

ESP32C3はESPWROOM02よりひとサイズ小さく制作できます。


3. 回路図と部品表

ESP8266 版の子機の回路図(KiCad)
ESP8266 版の回路図

ESP8266 版の回路図です。KiCad のファイルも置いてあります。tempserver/ と同じリポジトリの中です。

3.1 部品表

記号部品値・型番役割
U1ピッチ変換基板AE-ESP-WROOM-0218 ピン、2.54mm、外形 29 × 50mm
U2LDOHT7333-1 (TO-92)3.3V を作る
C1電解コンデンサ100µF / 16VLDO の入力側
C2フィルムコンデンサ0.1µFLDO の出力側
R1 / R2 / R4抵抗10kΩEN / RST / IO2 のプルアップ
R3抵抗10kΩIO15 のプルダウン
R5抵抗4.7kΩIO4 (1-Wire) のプルアップ
R6 / R7抵抗330kΩ / 100kΩ電池電圧の分圧
R8 / R9 / R10抵抗330ΩLED の電流制限
D1 / D2 / D3LED赤 / 黄 / 緑状態表示
J1コネクタXH 2P電池
J2コネクタXH 3PDS18B20

3.2 見落としやすい 3 か所

1. IO16 と RST を短絡する。 DeepSleep から自力で起きるために必要です。ここを繋がないと、一度寝たきり戻ってきません。電池を抜き挿しするまで永眠します。

2. IO0 は未接続、ボタンは付けない。 現地出動盤には RST ボタンも書込みボタンも載せていません。書込みは基板に載せる前に済ませます(6 節)。

3. 電池電圧の分圧は LDO の前から取る。 後ろ(3.3V 側)から取ると、LDO が効いている間はいつでも 3.3V です。残量が読めません。

電池 +(LDO の入力側)
   │
  R6 330kΩ
   │
   ├──── TOUT (A0)
   │
  R7 100kΩ
   │
  GND

分圧比は (330 + 100) / 100 = 4.3。ESP8266 の A0 は 0〜1.0V なので、測れる上限は 4.3Vです。第6回で実測したとおり、それより高い電池を挿すと 4.30V に張り付きます。


4. 実装の順番と、通電前に確認すること

4.1 順番

やること理由
1ピンソケット・コネクタ類を先に付ける背の低いものから付けるとやりやすい
2抵抗を付ける向きがないので気楽
3LDO と電解コンデンサ向きがある。ここが本番
4LED向きがある
5配線(裏面のジャンパ)最後
6通電前チェック4.2
7ESP のモジュールを挿す最後に挿す

モジュールは最後に挿してください。 先に挿しておくと、電源が間違っていたときに一緒に焼けます。ソケットにしておけば挿し直せます。

4.2 通電前に必ず確認すること

確認見方間違えると
HT7333-1 の向き刻印面を手前・リードを下にして左から 1=GND / 2=VIN / 3=VOUT。データシートで再確認一発で壊れる
C1 の極性帯(マイナス)が GND 側破裂する
LED の向き足の長いほう(アノード)が抵抗側光らないだけ
ショートの有無テスターの導通で 3.3V と GND を当たる電池が発熱する

そして、モジュールを挿す前に電池を繋いで、LDO の出力を測ってください。 3.3V が出ていれば正解。4.5V が出ていたら LDO の向きが違います。ここを飛ばすと ESP を焼きます。


5. 電池電圧を測る

5.1 ESP8266 版(単三 3 本)

テスターで ESP8266 版の電池電圧を測定(プローブ極性が逆でマイナス表示)

4.71V。 LDO の入力側、つまり電池側のスルーホールで測っています。単三 3 本の公称は 4.5V ですが、新品のアルカリは 1 本 1.5V を超えるので、こうなります。

この写真、テスターのプローブの赤黒が逆です。 光の加減で見えにくいのですが、マイナス表示になっています。恥ずかしいので撮り直そうかと思いましたが、そのまま載せます。逆に当てても壊れませんし、数字の大きさも合っています。 頭にマイナスが付くだけです。これを知らないと「測り方を間違えた、やり直しだ」と身構えてしまいます。

5.2 XIAO ESP32-C3 版(18650)

テスターで XIAO ESP32-C3 版の 18650 電池電圧 4.140V を測定

4.140V。 18650 の電極端子で測っています。満充電が 4.2V なので、ほぼ満タンです。

第7回で、この XIAO 版はテスターの読みとデバイス側の表示の差が 1.5% に収まっていました。ESP8266 側と違って測定上限に張り付いていないので、素直に比較できます。

5.3 2 枚で電池が違う理由

ESP8266 版XIAO 版
電池単三 3 本18650 リチウムイオン 1 本
電圧4.5〜4.8V3.0〜4.2V
入手どこでも買える通販が主
交換現場で誰でもできる充電器が要る
向いている用途置きっぱなしで、誰かが電池を替える自分で面倒を見る

現場に置くなら単三です。コンビニで買えることには、性能では勝てない価値があります。


6. 書込み装置を自作した

自作した ESP-WROOM-02 用の書き込み治具
隠れているがセンサー用XH端子もはんだ付けしています

今回いちばん効いたのはこれです。基板の話より先に、こちらを作るべきでした。

6.1 何に困っていたか

スケッチを直しては書き込み、動かして確かめる。この繰り返しをブレッドボードでやっていました。そこで起きたことです。

症状原因
配線したはずなのに動かないそもそも挿す穴を間違えていた
さっきまで動いていたのに動かない気づかないうちにジャンパー線が抜けていた
配線は合っているのに動かない劣化したジャンパー線で電圧が落ちていたと思われる

どれもコードの問題ではありません。 それなのに、動かないとまずコードを疑います。疑って、直して、それでも動かなくて、また直す。実際には線が 1 本抜けているだけです。

この種の時間の溶け方がいちばん質が悪いのは、気が滅入ることです。うまくいかないと他のことを始めてしまい、工作そのものが止まります。私は何度もこれで止まりました。

6.2 作ったもの

要素内容解決すること
MB102 電源モジュールブレッドボード用の電源モジュールを基板にはんだ付けし、USB から給電電源をここ 1 か所に集約する
USB シリアル変換モジュールVCC は NC(未接続)にして配線。使うのは TX / RX / GND だけ電源が 2 系統になるのを防ぐ
IO0 のタクトスイッチ押すと GND に落ちる書込みモードに入れる。ジャンパーを挿し替えない
RST のタクトスイッチ押すと GND に落ちるリセットできる。電池を抜き挿ししない
XH のメス端子写真では変換モジュールの陰に隠れているセンサーを確実に接続できる

電源は MB102 に一本化しました。 USB シリアル変換モジュールにも 3.3V や 5V の出力ピンが付いていますが、そこからも電源が来ると、どちらが効いているのか分からない状態になります。片方を挿し忘れても中途半端に動いてしまうことがあり、それがいちばん厄介です。変換モジュールからは TX / RX / GND の 3 本だけもらい、電源は MB102 の USB からだけ入れる。こうすれば「電源が来ているか」は 1 か所を見れば分かります。

要点は「毎回やることを、線を挿し替えずにできるようにした」ことに尽きます。書込みモードに入るには IO0 を GND に落としながらリセットする、という操作が要ります。ブレッドボードでこれをやると、毎回ジャンパーを 2 本抜き挿しします。抜き挿しすれば、いつか間違えるし、線も傷みます。スイッチにすれば、間違えようがありません。

XH のメス端子を載せたのも同じ理由です。センサーをブレッドボードに挿していると、3 本のうち 1 本が浮いていても気づきません。コネクタなら、刺さっているか刺さっていないかの 2 択です。曖昧な状態が作れないというのが、コネクタのいちばんの効き目です。

これでスケッチの検証効率は格段に上がりました。 書き込む、動かす、直す、のサイクルから「配線を疑う」という工程が丸ごと消えたからです。

6.3 先に作るべきだった

この連載を最初からやり直せるなら、第1回の次にこれを作ります。 治具は成果物ではないので後回しにしがちですが、後回しにしたぶんだけ、同じ失敗を繰り返します。

同じことは AI との付き合い方にも言えます。「動かない」と相談する前に、配線が原因ではないと言い切れる状態を作っておく。そうでないと、AI はコードを疑い続けます。AI に見えているのはコードだけで、抜けたジャンパー線は見えません。


7. ケースとリード線 — ここで一番時間を溶かした

7.1 そもそも水槽に沈めたかった

DS18B20 を選んだ理由は、温度センサーを水槽に沈めたかったからです。現場には水槽がいくつもあって、水温を全部まとめて変化する温度の動きを見たかった。防水のステンレス管に入ったケーブル付きのものが安く手に入るので、これしかありませんでした。

ところが気温を測ろうとすると、この長いリード線が完全に邪魔になります。1 メートルのケーブルが基板からぶら下がる。ケースに入れようとすると、どこから線を出すかで悩む。

7.2 端子仕上げが雑だと必ず断線する

そして本題です。端子の仕上げが雑だと、屈曲のストレスで断線するか接触不良を起こします。

これが厄介なのは、すぐには壊れないことです。組んだ直後は動きます。何度か動かしているうちに、たまに温度が来なくなる。そのうち来なくなる。原因を探すと、線が根元で切れかけている。ここで私は本当に時間を浪費しました。

赤 LED が点滅していたら、まずここを疑ってください(8 節)。

7.3 100 均のプラケースと粘土

落ち着いた形はこうです。

やったこと
ケース100 均のプラケース。穴を開けてセンサーのケーブルを通す
穴の隙間クーラーの設置工事で使う粘土で塞ぐ
リード線の長さケースの貫通点から基板の端子まで、少し長めに余裕を持たせる

粘土は、エアコンの配管穴を塞ぐあれです。ビルメン的にいうと「絶縁粘土」「ネオシール」。ホームセンターで安く手に入ります。硬化しないので、あとからケーブルを動かしたくなっても剥がせます。コーキングだと、やり直すのに難儀します。

そして最後の 1 行がいちばん大事です。 貫通点から端子までをぴったりの長さにすると、ケースを持ち上げたときのストレスが端子の一点に集中します。少したるませておけば、線がしなって逃げます。たった数センチの余裕で、断線するかしないかが決まります。

温度の計測スパンが2分だったりするのは温度変化をリアルタイムで計測して確認する必要があり、試作しながら電池寿命を考えてそうしています。ビルの中の広い範囲の各所の気温の計測ならADT7410というチップを積んだ温度センサーモジュールがあり、外箱にそれを固定するすっきりした外観の温度測定ポッドが出来ると思います。実際にセンサーは秋月で買い込んであり、Piサーバー2号を作ってエコチューンに利用しようと考えていました。


8. LED 3 色で現地切り分け

ESP8266 版には、状態表示の LED を 3 個載せた診断版のスケッチがあります。ビル管理の現場では、ノート PC を持ち込めないことがよくあります。シリアルモニタが使えない状態で、動かない原因を切り分けるための仕掛けです。

8.1 点灯パターン

色GPIO光り方意味
赤50.1 秒間隔で点滅を 3 秒DS18B20 が見つからない。POST せずに寝る
黄123 秒点灯WiFi 接続失敗、または POST 失敗
緑130.2 秒だけ点灯POST 成功
無点灯—何も光らない寝ている、または電源が来ていない

緑が一瞬しか光らないのは意図的です。電池で動くものが 3 秒も光っていたら、それだけで電池を食います。 異常のときだけ長く光らせて、正常なら最小限にしています。

8.2 現地での見方

見えたもの疑う順番
赤が点滅① XH 端子の圧着 → ② 4.7kΩ のプルアップ → ③ センサー本体(第1回のピンチェッカーで判定できます)
黄が点灯① Pi の AP が上がっているか → ② IP の衝突 → ③ 電池残量
緑が一瞬正常です
何も光らない① LDO の出力が 3.3V あるか → ② IO16-RST の配線 → ③ 電池残量

黄は 1 色に 2 つの意味を持たせてあります。 WiFi でつながらないのか、つながったが POST が通らないのか、この LED だけでは分かりません。そこまで分けたければ Pi 側のログを見ることになります。journalctl -u tempserver -f で流しておいて、子機の電源を入れる。届いていれば行が出ます。


9. ダッシュボードをどこから見るか

Raspberry Pi 自身のブラウザで開いた温度ダッシュボード
Pi にモニターとキーボードを繋いで、Pi 自身のブラウザで開いたところ

見方は 3 通りあります。どれもポート 5000 が必要です。 省くと 80 番を見に行って何も出ません。

どこからURL使いどころ
Pi 本体http://localhost:5000/モニターとキーボードを繋げば、Pi だけで完結する
同じネットワークの PC・スマホhttp://ホスト名.local:5000/普段はこれ
同上(IP 直打ち)http://192.168.x.x:5000/mDNS が効かない環境

1 番目が現場での逃げ道です。 ネットワークがどうなっているか分からない、AP は上がっているのか、IP はいくつなのか。切り分けているうちに時間が過ぎます。Pi にモニターとキーボードを繋いでしまえば、ネットワークを一切通さずに中身が見られます。データが入っているのかいないのか、それだけでも分かれば切り分けが半分に減ります。

2 番目の .local は mDNS(Avahi)の名前です。.localhost ではありません。.localhost は「自分自身」を指す予約名なので、他の機器から叩いても届きません。私はこれを取り違えていました。

Pi のホスト名が分からなければ、Pi 側で hostname、IP は hostname -I で出ます。


10. 電池のしきい値 — 記録を開始する

第6回・第7回・第9回で、こう書いて残してあります。

3.3V は運用上の判断値で、実測ではありません。電池を 1 セット使い切って、実際に止まる電圧を見てから決め直すのが確実です。

今回それに決着を付けるつもりでした。できませんでした。 電池が減るのを待つしかないからです。単三 3 本だと、数週間から数か月かかります。

10.1 仕掛けは要らない

幸い、特別な準備は不要です。サーバーは第8回の時点から、届いた電圧を毎回そのまま保存しています。放っておけばデータは勝手に溜まります。

voltage REAL,        -- ← 第8回で作った時点から入っている

必要なのは、止まったあとに取り出すクエリだけです。

cd ~/tempserver
sqlite3 temperature.db \
  "SELECT timestamp, voltage FROM temperatures
   WHERE device_id='ESP-XXXXXX' ORDER BY timestamp;" > ~/battery_run.csv

wc -l ~/battery_run.csv

ESP-XXXXXX は自分の子機の ID に置き換えてください。ダッシュボードの表に出ている文字列です。

10.2 90 日で消える点にだけ注意

第9回で入れた自動削除が効いています。既定は 90 日です。記録が 90 日を超えそうなら、先に伸ばしておいてください。

cd ~/tempserver
nano .env
#   RETENTION_DAYS=400  に変更して保存 (Ctrl+O → Enter → Ctrl+X)
sudo systemctl restart tempserver

私はこれを忘れていて、あやうく待った意味がなくなるところでした。

10.3 何を見るか

見たいこと取り出し方
いつ止まったかCSV の最後の行の時刻
止まる直前の電圧CSV の最後の数行。これがしきい値の答え
4.3V を割ったのはいつか上限に張り付いていた区間が終わった時刻
何日持ったか最初と最後の時刻の差

結果が出たら、第6回・第7回とこの記事に追記します。 合っていれば合っていたと書きますし、外れていれば外れていたと書きます。今の 3.3V という数字は、根拠のない仮置きです。そう書いてある以上、そう扱ってください。


11. 詰まりやすいところ

症状原因対処
電池を繋ぐと発熱する3.3V と GND がショートしているモジュールを挿す前に導通を確認する
LDO の出力が 4.5VHT7333-1 の向きが違う1=GND / 2=VIN / 3=VOUT を再確認
電解コンデンサが膨らんだ・破裂したC1 の極性が逆帯(マイナス)が GND 側
LED が光らない向きが逆足の長いほうが抵抗側
一度寝たら二度と起きないIO16 と RST が短絡されていない回路図の 3.2 参照
電源を入れても起動しないIO15 のプルダウン、IO2 のプルアップが無いブートストラップのピン。3 本とも必要
赤 LED が点滅するセンサーが見えないXH の圧着 → プルアップ → センサー本体の順
温度がたまに来なくなるリード線が根元で切れかけている7.2 参照。端子の仕上げを疑う
テスターがマイナスを表示するプローブの赤黒が逆実害なし。数字の大きさは合っている
電池を替えても表示が 4.30V のまま分圧の測定上限に張り付いている異常ではない。3.2 参照

12. AI との付き合い方 — 総括

序章で「AI とペアで電子工作すると、想像以上に早く『動く』に辿り着ける」と書きました。11 回書いてきて、効いたやり方と効かなかったやり方がはっきりしたので、まとめておきます。

効いたこと

内容
既にあるものを見せる「動いている実運用版から抜き出して」と頼むと、AI の仕事が設計から移植に変わります。移植なら答え合わせができます
実物の出力を渡すgrep -n の結果、エラーの全文、シリアルモニタの中身。要約せず、そのまま貼るのがいちばん速い
推測させない「行番号を推測で書かないこと」。以前、構造体のバイト数を推測で 68 と書かれ、そのまま記事に載せてしまいました。実際は 72 でした
理由を言わせる書き換えを提案されたら、まず理由を聞く。納得できなければ却下する
手順は必ず通す書かせた手順は、自分で実行するまで下書きです。第10回では実際に通して、通らない箇所を直しました

効かなかったこと

内容
丸投げ「ニックネーム機能を作って」だけだと、動くものは出てきますが、私が 1 年かけて踏んだ落とし穴は入っていません
動いているから正しい、と思うこと第10回で読み直したら、設定が 1 つ効いていませんでした。値がたまたま同じで、誰も気づいていなかっただけです
配線を疑わずにコードを疑うこと6 節。AI にジャンパー線は見えません

いちばん言いたいこと

この連載でいちばん時間を溶かしたのは、コードではありません。抜けたジャンパー線と、切れかけたリード線です。 AI はどちらも見ることができません。

そして、そこで溶けた時間がいちばん精神に来ます。うまくいかないと気が滅入って、他のことを始めてしまう。 工作が止まるのはたいてい、難しすぎたからではなく、下らないことで躓いて嫌になったからです。

だから、下らないことで躓かない仕掛けを先に作るのが結局は近道でした。6 節の書込み装置がそれです。7 節のリード線の余裕もそれです。どちらも「作品」ではないので後回しにしたくなりますが、後回しにするほど同じところで止まります。

AI は待ってくれます。何日空けても怒りませんし、同じ質問を 3 回しても嫌な顔をしません。止まってしまったときに再開しやすいというのは、これまでの独学にはなかった性質です。私にとっては、速く作れることより、こちらのほうが大きかったように思います。

これはAIが記述しなかったこと。AIは自分の発言で後からひっくり返します。過去に成功経験があったとします。改めてAIに生成を依頼してらネットの古い情報でコードを書き、いくら試行錯誤してもコードが通らず「やり方を変えましょう」と発言してきます。普通に諦めます。しかし「最新の情報をネットで調べてほしい。出来るはず。」と入力すれば「間違っていました。」と訂正が入る。


ここまでで出来上がったもの

[ESP8266 子機] ──HTTP POST──┐
                             ├→ [Pi: Flask + SQLite] → ブラウザ
[XIAO 子機] ─ESP-NOW→ [Master] ──USB シリアル──┘

  ・ユニバーサル基板に固定され、持ち運べる
  ・センサーと電池は XH コネクタで交換できる
  ・LED 3 色で、PC 無しに一次切り分けができる
  ・電源を入れれば勝手に上がり、落ちても戻ってくる
  ・90 日より古いデータは自動で消える
  ・GitHub から clone すれば、他人の Pi でも同じものが動く

序章で「しまい込んでいた部品を形にする」と書きました。形になりました。ここで連載は終わりです。 長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

完成した温度監視ダッシュボード、複数センサーの最新値とグラフ

現在、旧版である現地出動版Piサーバーは、マンションのベランダで今年から始めた水耕栽培している容器に入れています。温度と育成状態を監視しています。今年の成果はあまりよくなかったので来年までに自動給水やエアレーションを自作して自動栽培装置を目指し、おいしい成果を目指すことにします。

ベランダの水耕栽培の容器に設置した温度監視用の Raspberry Pi

次回予告 — 番外編

本編はここで終わりですが、1 つだけ書き残したことがあります。外からダッシュボードを見る話です。

いまの構成では、ダッシュボードを見るには Pi の AP に繋ぐ必要があります。現場に行かないと見られない、ということです。ところが Pi にはもう 1 つ WiFi があります。第5回で「インターネット出口」に使ったオンボードの wlan0 です。

【番外編】Tailscale でどこからでもダッシュボードを見る として、この wlan0 を経由して自宅からでも別の現場からでも管理画面に入る方法を書きます。VPN の一種ですが、ルーターの設定もポート開放も要りません。ここまで作ったものが、そのまま外から見られるようになります。


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