ガンの前兆

ガン

1. 長いストレスの始まり

私は以前、あるセクションの経験者として中途入社しました。元請け会社に常駐するスタイルでしたが、入社1年ほどで責任者を含む上位3名がほぼ同時に離脱するという異常事態が発生します。

以前の職場でも似たシチュエーションで挫折した経験があった私は、今回は「リベンジ」のつもりで責任者を引き受けることにしました。自分のやりたいように現場を立て直そうと考えたのです。

しかし、それが大きな間違いでした。私は「自分ができることは、他人もできるはずだ」と思い込んでいたのです。

2. 絶望的な人材難と「教育」の限界

現場は地方で通勤も不便なため、求人への応募は壊滅的でした。元請けからは「質より契約上の人数」というプレッシャーをかけられ、条件を下げて採用せざるを得ません。特に一か所で長い間勤めて退職後にここに再就職、といった人ほど何もできなかった印象があります。

集まったのは、未経験の高齢者ばかりでした。彼らには新しいことを覚える気がなく、基本的なルールすら定着しません。

  • PHSの不携帯: 現場に出る際にログインせず、連絡がつかない。それ以前に持って出ない。どこに何をしに出て行ったかもわからない。
  • 基本動作の欠如: 「ゴミを出す」「掃除をする」「電話を取る」といった、社会人としての初歩から教える必要があった。

自分より年上の部下たちに、毎日同じことを朝礼で繰り返し、手順書を作って説明して綴っても判を押すだけ。彼らは常に受け身で、トラブルが起きても呆けた顔で私を見るだけでした。結局、すべての実務と責任が私一人に集中し、私のスキルだけが異常に上がっていくという皮肉な状況に陥りました。

3. 機能しない上司と孤立

追い打ちをかけたのが、各セクションを統括する上司の存在です。 最初の上司は未経験者で、自分のできる事しか実務を行わず、私のセクションの仕事は一切手伝いませんでした。元請けからも呆れられ、結局、元請けとの窓口業務もすべて私が直接背負うことになりました。

彼はやがて退職し、その後に来た上司は、現場を知らないのに安請け合いを繰り返すタイプでした。「かしこまりました」と連発するものの、実務能力が伴わず、現場を混乱させるばかり。私は部下の教育と、上司への業務の説明、そして元請けとの折衝を行い上司の存在はまったく迷惑でしかなくなりました。

4. 蝕まれていく心身

元請けの仕事はインフラに関わるもので、一時の油断も許されません。 ストレスを紛らわすための酒量が増え、帰宅後はすぐに飲み始める毎日。夜間に呼び出されれば、妻に車を運転してもらって現場へ向かうこともありました。

やがて、体調に異変が現れます。

  • 便が真っ黒になる。
  • 鳩尾(みぞおち)がキリキリと痛み出す。
  • 異常な食欲: バイキングで2人分を食べ、焼肉では腹がパンパンになるまで詰め込む。
  • 記憶の欠落: 自分の携帯番号や住所が思い出せない瞬間がある。

更に常に鼻が詰まったような蓄膿症の症状があり、頭を締め付けられるような鈍い頭痛に悩まされていました。

5. 限界と、初めての胃カメラ

メンタルはすでに崩壊していました。朝、体を起こすことすらできず、欠勤が増えていきました。心療内科では「抑うつ状態」や「双極性障害」と言われましたが、処方される薬は一向に効きません。この地獄から逃れるには、会社を辞めるしかないと考え始めていました。

胃潰瘍のような自覚症状が出てから半年。 食事をすると2時間ほど胸がいっぱいになり、胃の辺りが痛む日が続きました。新型コロナの流行で病院が混み合っていたため、さらに2週間ほど放置してしまいましたが、ついに身の危険を感じて内科を受診しました。

医師から「翌朝、胃カメラを飲みますか」と提案され、私は生まれて初めての検査を受けることになったのです。

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